「…別れ……んんっ!」



でもやっぱり………、


“別れ”の言葉は聞きたくない。


だから俺は、


無理やり君にキスをした。







「稜」

「くそ兄貴」

「うっせーうっせー、彩希を離せば?」

「無理だ…」


俺には彩希しかいない。

彩希を失ったら俺に何が残るんだ?


――何も残らない。



彩希……ごめんな。


離してやれなくて。