「彩希……」
隣で気持ちよく寝てる彩希が愛しい。
誰にも渡したくない。
だけど……俺たちはもう、
修復出来ないくらいの“傷”が出来たんだ。
「好きだ、彩希。これからもきっと」
俺は、教えない。
記憶が戻った事なんて。
「愛してる」
彩希をこれからもずっと、
愛してる――…………。
それは絶対変わらないんだ。
俺がどんなに思っても、
彩希と思いが通じ合っていても、
俺たちはもう無理なんだ。
俺は、この気持ちに目を瞑る。
卑怯でもなんでもいい。
俺には、
“彩希といる”
っていう未来が見えないんだ………。