もしも願いが叶うなら


「彩希は稜が好き?」

「うん…」

「はは、やっぱな」

「…?」

「俺、ちっせー時から彩希が好きだった。」


いつものノリとかじゃなくて。

そんな愛翔に戸惑う。


「す……き……?」

「あぁ。でも稜は親友だし、彩希と稜が幸せなら俺は満足だった」

「愛翔……」


あたしは、

気づかない間にたくさんの人を傷つけてきた。

あたしは気づかなかった。

愛翔がそんな事思ってるなんて……知らなかった。



「稜が記憶をなくしても、それでも彩希は稜を思い続けたな」

「愛翔……?」

「俺、一途な彩希が好きだ。でもな、今は友達でいいと思ってる」

「…っ」

「泣くなよー、終わってねぇじゃん?」

「だっ……てぇ……」



すごく胸が痛いんだもん。

愛翔の気持ちを考えたら、

切なくて……痛くて。


「泣かせるつもりないんですけど」

「…ふぇ…」

「だからさ、これからは彩希の親友って事で」

「う……ん」

「泣くなー?」

「…愛翔…」


ねぇ愛翔。

愛翔の気持ちが痛いくらい分かるの。

あたしだって、

“恋”してるから。


でもあたしと愛翔は違うね。

愛翔は強いよ。


“親友”

だなんてあたしは言えない。


だからそんな愛翔が、

かっこいいと思う。