あれから気まずくて話せてない俺と彩希。
「なにがあったんだよ、お前ら」
「…うっせ」
うぜぇ、くそ兄貴。
桃とイチャイチャしながら聞いてくんじゃねぇよ！
「彩希の事どう思ってるの？」
「それによるよね。アンタ彩希抱いたんだし」
痛いとこつくよな、莢。
仕方ないだろ？
…俺だって後悔してるさ。
彩希をちゃんと知れば、
“抱いて”と言われても、
抱かなかった。
「あぁ〜！！」
「どうした、稜」
「愛翔！アンタ彩希とイチャイチャしてんじゃないわよ！」
「はぁ？…稜が行動に出ないからだろ」
「…」
“行動に出ない”
違う、出れないんだ。
気持ちがわかんねぇまま、
彩希を縛り付けていいのか？
アイツにも好きな奴……がいるかもしれねぇし…。
「彩希ちゃん」
「先輩！」
「そろそろ付き合わない？」
ほらまた……って……、
“付き合わない？”
え、付き合ってんじゃねぇの！？
俺の勘違い？
超恥ずかしくねぇ？
「先輩、ごめんね」
「なんで？」
「あたしには好きな人がちゃんといるの」
「そっか…」
「先輩のお陰でちゃんと気持ち持てたよ」
「なに俺、後押しした感じ？ww」
「えへへ」
「見事に振られてやんの」
「莢は黙れー」
「だっさーww」
「腹立つなぁ！」
好きな人……？
それは誰？
「気になる？」
「え？」
「モヤモヤする？」
「…まぁ」
「それヤキモチじゃん？てゆか独占欲」
「俺がアイツに……」
「一緒にいたらドキドキする？」
「あぁ」
「誰かと仲良くしてたらイライラする？」
「当たり前」
「彩希に泣かれたら嫌？」
「…あぁ」
あいつだけは泣かせたくない。
あいつは……大切にしたい。
「稜は彩希を好きなんじゃない？」
「―…！」
謎が解けた感じの感覚。
そっか……。
俺はずっとアイツが好きだったのか。
