もしも願いが叶うなら

あれから1週間後。

“さぁちゃん”

の正体を知ってから、

懐かしい夢ばかり見る。




「稜ちゃんじゃない!」

「おばさん、おはよ」

「彩希と行くのー?」

「まぁ」

「あらら、2人ってば仲良しねー?」

「友達ですから」

「フフッ、稜ちゃんは忘れたんですってね?」

「え?」

「彩希との記憶」

「……」

「付き合っていたのよ?でもそんなの昔話。2人には幸せになってもらいたいわ」

「?」

「恋していいのよ?彩希に悪いとか考えないで?それが逆に彩希を苦しめるわ」

「遠慮が?」

「そっ、まぁ人の自由よ」


おばさんと入れ違いでアイツが出てきた。



「おはよ、稜」

「…よ」

「“おは”がないです」

「るせー、小さいな」

「挨拶は基本!」

「お前がさぁちゃんとか嘘だろ」

「失礼ねー!どーせ可愛くないですよーだ!」



幼稚かよ。

でも、可愛いから許せる。


「さーきー」

「愛翔!」

「一緒に行こう?」

「うんっ」



俺以外の奴に笑いかけるな。

“独占欲”?

――違う。

認めたくない。

まるで女慣れした俺が、

コイツに溺れてるみてぇじゃねぇか。




「大変ね」

「莢」

「あのさ」

「莢!」

「…あぁめんどう」

「湊さん」

「お、稜じゃん」

「莢とは?」

「親友」

「えぇ!?」



莢と湊が親友!?

ドSコンビかぁ……。



「浮かない顔して、湊が嫌だった?朝から暑苦しいよね?」

「ひっでー、莢」

「正直に言ってあげたんじゃない、感謝して」

「するかよ!」



なんだかんだで相性がいいのかもしれないな。