翔貴side
「桃と自由になって」
もう、
莢は、
俺がいなくても、
大丈夫になってたんだな。
いつの間にか莢の隣にいるのが当たり前になってた。
だけど、
やっぱり、
“ドキドキ”しなくて。
「桃ーっこっち!」
「待ってよ、彩希!」
やっぱり、
桃を目で追ってしまう。
「ばいばい」
きっと俺は、
気づかない間にたくさん、
莢を傷つけてきた。
潮時だよな。
俺も莢も、
さよならが必要になったんだ。
「じゃあな」
瞳に涙が溜まってて、
でもその涙を俺はもう、
拭えない――…………。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…