「あたし…には翔貴が…邪魔なの」
全部嘘。
翔貴には見破られてる?
でも気づいてない不利をして。
あたしにだって、
プライドがあるの。
「莢」
「…なに…」
翔貴は莢を抱き締めた。
本当に翔貴はズルい。
こんなときに抱き締めるなんて………。
「しょ…き」
「なぁ莢」
「……?」
「昔の俺は莢が好きじゃなかった。」
うん、知ってたよ。
翔貴は正直だから。
「でも」
「莢の側にずっといて、莢が好きになった」
……え?
嫌いじゃないの?
嫌いなままでいてよ。
「莢は優しくて、可愛くて、わがまま。」
「弱いくせに強がって、涙なんか見せてくれない」
そう……。
あたしは桃と違って、
“可愛くない”“愛想がない”
って思われて生きてきた。
「莢は本当はすげー大人に見えるけど、心はガキ。強がってなきゃ、涙が出てくるから莢は強がる」
「…!」
「みんな莢を誤解してるよな。桃も稜も彩希も愛翔も俺も……みんな莢の味方だ。我慢すんな」
あたしは、“甘える”
って事がうまくできなくて、
みんなに偉そうな態度して嫌われた。
「莢姉?」
そんなあたしに光が指した。
闇の中を必死で歩いてる時に、光が指した。

