呪いから切り離された世界。 エカテリーナが五百年ぶりに見たそれは、遥か昔の記憶の中のものとなにも変わらなかった。 ――――ここに五百年分の擦れがあるというのか。 なにひとつ変わらなく思えるのに、エカテリーナの知る王は露となり、魔法使いは絶えた。 エカテリーナが知るものとはかけ離れた世界が、この青い空の向こうに繋がっている。 エカテリーナはそれを知りたいと思った。 生きて、五百年間自分が目を瞑ってきた事実を受け止めたいと。