「行け!」 ただならぬ気配を背後に感じた馬は、ロゼリンの命令に忠実に従い、駆け出した。 馬蹄を響かせながら駆ける脚は、大地の揺れに怯む様子もなく、心強い。 エカテリーナは馬の鬣を撫でながら、優しく告げた。 「なんとか結界の外まで走り続けておくれ、頼む」 エカテリーナの言葉を理解したのか、馬は猛然と結界の外へ向けて駆けていく。 背後に迫る、不気味な鳴き声。 黒い竜はその形を大きくうねらせて、追いかけ続ける。 こうして、エカテリーナとロゼリンによる脱出が始まった。