その日、仕事を終えて家に帰ると……あまり明るくない顔をしたアツシがいた。 お調子者な彼が、沈んでいる事なんて珍しい。 仕事で何かあったんだろうか? 心配になった私は、そっと隣に寄り添って話しかけた。 「元気無いね。何かあった?」 今では触れる事にも慣れて、その大きな背中に手を回す。 その角度から甘えた視線で見上げる仕草。それはいつもアツシが可愛いって言ってくれてるもの。 だけど……そんな手の力はすぐに抜ける。 「葵さ、東京行くの……止めない?」 アツシ? 一体……急にどうしたの?