スーツケースの中から写真立てを二つ取り出し、玄関に置いた。 もちろんこの部屋からも夜景は綺麗に見える。 角度と部屋の広さは違うけど、見えるものはだいたい一緒だ。 写真立てには祖母、父、母、兄と私の家族写真、 それから、私の愛するマークと一緒の写真の二つ。 「マーク、頑張るからね!」右手の指にキスして、写真立てに触る。 私はスーツケースを片付けて、 北島さんとこのキーはフロントのコンシェルジュに預けた。