「まだ暑さの残る時期にお鍋って、なかなかあれだよね」
「ん?鍋は夏にやるからいいんだろうが」
・・・だよね。かすみさんの趣味だもんね、祐哉だって好きなはずだよね。
変なこと聞いちゃった・・・切ないなぁ・・・
さっきふられ、そして高鍋さんの配慮もあってこんな会を開いてもらっといてなんなんだけど、
悲しいだけだよ、この二人を見るのは。
そこんとこ、分かってないんだなぁ。
や~だ、そうならそうと言ってよ!も~!
ピンクな声が聞こえ、そっちの方向を向くと・・・・・・・
「・・・嘘でしょ」
高鍋さんとかすみさん、じゃれ合ってるし!
今さっき食べた「えのき」が鼻から出るかと思うくらい、むせた。
「いいの祐哉?あんたの彼女、なんか高鍋さんと変なことしてる」
言いたくはないけど、見たら言わなきゃって思っちゃう。
こんなもん見たくもないんだけど!
「・・・」
水をがぶ飲みして、もう一回じゃれあう二人を見た。
べったりくっついてるし・・・・・
「・・・お前今なんつった?」
「え?彼女、高鍋さんとじゃれあってるし、ほら、今なんてくっついてる」
なんだか分からないけど、小声になってしっかり言おうと、
ゆっくりになる。
「本当に・・・救いようねーな」
深~い深~い、それは深海のように深い溜息をおつきになる目の前の男。

