「私はマークが好きだから、終わりにできないよ」
「・・・シェーン」
「アメリカに帰ってやり直すんじゃなかったの?」
「そう言ったけど・・」
「じゃ、やり直そう!アメリカにいた時みたいに、もう一回・・」
「無理だよ」
「どうして」
「僕は君といた時、無理をしてた」
「そんな。でもそれは私だってそうかもしれない、嫌われたくないからって、
自分のことあんまり言わなかったし、わがままだって言わなかった」
「お互いそうだったんだよ、自分を偽って、疲れる恋愛をしてたんだと思う」
「だったら・・・変えればいい」
「・・・ごめん。もう・・・疲れた」
疲れた。
それ言われたら、もう何も言えない。
もっと早く、言いたいことは言っておけばよかったのかもしれない。
偽らずに、自分を出していればよかったのかもしれない。
そうしたら、疲れたなんて言葉は出なかったのかもしれない。
フランス語も、都合がいい。
言葉の分からない二人には、ぜんぜん分かって無いから、
何を言ってるのかも理解できていない。
高鍋さんも、ふんわりさんも、ホワっとした顔してる。
内容が分かるのは私とマークだけ。
京都の時と違うのは・・・
ここには祐哉がいないから、
私を無理矢理に連れ帰ってくれる人がいないということだ。
こんな形で私は、一番好きだった人に一方的に理不尽な別れを宣告された。
結局、自分の思うことをそのときにちゃんと考えて言ってこなかったツケが、
自分をかっこよくみせて、本性を露わにしてこなかった罪が、
こういう風にして、
自分の気持ちに素直になってやってきた人が、
最後には全てをかっさらっていくんだって、思い知らされた。

