仕事も仕上げたし、少し時間に余裕もできるから、気分転換に外に出よう。
しかし、日本に友だちと呼べる人はいないに等しい。
気楽に呼べるのは、高鍋さんくらい。でも彼女がいるって言ってたから、
夜に飲みに行こうと誘うのはさすがにはばかれるよね。
「でもま、いっか」高鍋さんなら間違いはおこらない自信がある。
電話をかけると、まだ仕事中だった。
すぐ終わるからそしたら行きますよ、と明るい返事。
うちのマンションの最上階にはお洒落なバーが備わっているからそこで飲もうということになった。
ここには何回か行ったことがあって、一人で考え事をしたり、ぼーっとするのにはもってこいの場所。
例え酔っ払ったとしても、下に下りればすぐに家に帰れるこの安心感も、またいい。
一人で先に飲み始め、赤く点滅するビルの屋上辺りを眼下に夜景を眺めながらグラスを傾ける。
リラックスしてたら隣に人の気配を感じ、横に目をやると仕事帰りの高鍋さんだ。

