電話が鳴ったのはそれから一時間も後だった。 私と祐哉は帰りの支度を始めている頃に、唐突に鳴った。 顔を見合わせる二人。 出ろよと顎で言う祐哉。 それを目だけ動かして確認すると、スマホを手に取った。 最新鋭の軽いはずの電話も今じゃ重力が倍はかかっているように、重い。 もう一度祐哉を見る。 頷く。 スライドさせて、電話に出た。