シャネルのツイードジャケットを放り投げ、
シルクのブラウスの腕をまくり、氷水をがっしゃがっしゃと作り、
バスルームから更にタオルを拝借した。

一通り熱が出きったあと、脇の下にタオルにくるんだ氷の袋を挟んだ。
あとは体を冷やしてやれば、体温は下がる。

ここまでくればもう大丈夫だ。

私はふーっと肩の力を抜くと、ソファーの片隅、
この男の隣に背を預け、東京の夜景を眺めた。

「やっと夜景が見れる・・・ってもううっすら明るいし」
朝焼けがビルの森から輝き始めたのをぼーっと見ながら私の意識は夢の世界へと誘われた。

いつの間にかクラッシックミュージックは止まっていた。