「他の男の女を抱く気はねぇよ」

乱れた服をやらしいくらい滑らかな手つきで直す。

私の脳みそは冷静に状況を把握しようと最速起動に努めるのに、
ほてった体がそれを拒む。

女は子宮で物を考えるというが、まさか私に限ってって思ってた。
その、まさかほど、当てにならないものはないと、思い知らされた。

「決めるのはお前だ」

ソファーにいつものスタイルで座り、
気持ちを落ち着かせているのがよくわかる。

私も力の入らない体をどうにかこうにか起こし、ソファーに背を預ける。

決めるのは、私?

手の届く距離にいるのに、そこには分厚い壁があって、

絡み合えない沈黙が悠々と流れていた。