数分の後、健一が声を上げた。

「フフフフン。オレ、わかっちゃったもんねー」

健一は得意気に顔を上げると、鈴と卓也の顔を見て胸をそらす。

今度は、鈴と卓也が視線を交わらせる番だった。

不思議そうな顔をしている二人をよそに健一が元気な声を上げる。

「よし、じゃあ行くぞ!」

「えっ、行くってどこに?」

「ついてくればわかるって」

健一はどんどん歩いて教室を出て行ってしまう。

「ちょっと待ってよ健ちゃん!」

卓也もその後を追う。

鈴も慌てて二人を後を追おうとするが、教室を出る直前千絵にトントンと肩を叩かれる。

足を止め千絵を見上げる鈴に、千絵が鈴の耳元に顔を近づけて何事かを告げた。

鈴はキョトンとした顔をしたが、にっこりと微笑む千絵に釣られるように笑い返すと、そのまま健一と卓也の後を追うため教室を飛び出した。