ワンルームの狭い部屋の真ん中を占めるようにコタツが置かれている。

片山千絵はコタツの中に入り真剣に悩んでいた。

傍から見れば単にコタツに入って暖まっているようにしか見えない。

コタツにはつき物のみかんがかごの中に山盛りに入れられている。

千絵はみかんを一つ手に取り、

「何かいい案ないかな~?ね、リン」

と側にいた子猫に話しかけた。

子猫は千絵の悩みなど関係ないというように一つ欠伸をするとコタツの上のみかんに興味を移した。