ポタッ 平助の頬に、俺の涙が落ちる。 俺は、平助を抱きしめたまま、動けなかった。 「睦月っ!!」 そんな俺の横を、ドタドタと走って行く人影。 そっと平助から手を離し、睦月と一条の傍へと近寄る。 服に付いている血は、たぶん平助のものだろう。 怪我は無かったので、ホッと胸を撫で下ろす。 青ざめた頬には、何筋もの涙の痕が残っていた。 恋人を、目の前で亡くしたのだ。