「分かりません」 ――――たぶん、殺されているだろうけど。 斎藤さんが、なんでこんな表情をするのか、わたしには分からなかった。 だって、いつも無表情で、無口。 なのに、どうしてこんな日に・・・? 「やっぱり、自分の使命を果たしただけでも・・・ それによって、人が死んだら、いい気はしないな・・・」 そう、独り言のように呟く斎藤さんは・・・ 無口でも、無表情でも・・・ やっぱり、人間なんだな。