スッと、真っ暗だった部屋の中に、月明かりが入り込む。 涙でぼやけた視界に、わたしの大好きな人の姿が入った。 慌てて涙を拭い、平助君に笑い掛ける。 「お帰りなさい、平助君」 「え、ああ。 ただいま」 寂しそうに、笑いながら平助君は返してくれた。 平助君の顔には、悩んで悩んで悩んだ、苦悩の跡が見受けられた。 どれほど苦しんだのだろう。 この決断に、どれほどの想いを殺したのだろう?