「あとはあなた達が尊敬してやまない近藤勇」



少し間を空けて、あの人の名前を出した。


その瞬間、空気に殺気が混じったのが、手に取るように分かる。



「おまえ・・・長州の間者かっ?」



・・・患者?



「俺、どこも悪くないです。健康そのものですよ」


「違う!回し者かって聞いてんだよ!

正直に言わないと斬るぞっ!」



その脅し文句に、ほぉっと頷く。


まぁ、斬られるのもいいかな。



「どうぞ、お好きに。あっ、でもこいつは斬っちゃだめですよ?

あの喧嘩に巻き込まれただけなんで」



そう、言った瞬間だった。