自宅マンションへ戻った俺は、

少し緊張しながら玄関ドアを開けた。


けれど、松波はまだ帰って来てないらしい。

玄関からリビングへの廊下の灯りはダウンライトのみ。


俺は一日の疲れを取る為、浴室へ。


いつもは奴が風呂準備をしてくれているが、

さすがに今日は待つのもどうかと思い、

俺はシャワーを浴びる事にした。



シャワーを浴び終え、リビングへ行くが奴の姿はまだない。


――――――俺は何をしてるんだ?




別に奴が帰って来るのを待っている訳じゃない。

ただ、昼間見た『女』の姿をした奴が

一体どんな顔で帰って来るのか……それが気になる。



というよりも、『女』だと確定した以上、

奴とどんな風に接していいのか分からない。



俺はミネラルウォーターのボトルを手にして、

窓から夜景を眺めていた。




暫く、考えてはみたが……。

ああぁぁぁ――――!!

面倒臭い!!

何で、俺様がこんなにも神経を費やさなとならないんだ?!

そもそも、奴に気を遣う必要はない筈だ!

それに、気まずくて帰って来ないかもしれないし。


――――――考えるだけ無駄だな。