たった、ひと言。




「小澤」


「へ?」



不意に話し掛けられて、ノートを書いていた手を止める。


中川の綺麗な字より汚いであろう自分の字を見られたくなくて、片手でさり気なくノートを隠した。




「消しゴム貸して?」


「?いいよ」



中川の机の上にある消しゴムを見て、持ってるのに、と不思議に思いながら消しゴムを渡した。




「これ、光る消しゴムなんだけど消しずらくてさ」



と言って光る消しゴムでノートを消して見せた中川に、ホントだ、と頷く。



「暗いところで光るの?」


「そ。見てみる?」




渡された消しゴムを、手で影をつくって暗闇で見てみる。



「おーっ!」



「それ、ペンで何か書くと、その形が浮かび上がって光るんだよ」



そう言ってもう1つの消しゴムをペンケースから出した。


あたしが持っているのはブルーで、中川のはピンク。



そして中川はピンクの消しゴムに“M”と書いてあたしに渡した。