たった、ひと言。




3番。

引き当てたクジを見て、自分の席を探す。



一番廊下側、前から3番目。

意外に教卓からは見えない、人気の席。



隣は中川。


あまり話したことはないから話しかけるか迷っていると、先に口を開いたのは中川だった。


なんて話したのかは、覚えてないけど。


この席になって、学校が楽しくなった。



中川の好きなアニメの話とか。

あたしの読んでる漫画に“中川”って名前のイケメンが出てくるとか。



くだらない話ばかりして、それが幸せだと思った。





「ごめん、教科書見せて?」



数学の教科書を忘れたあたしは、中川と机をくっつけて教科書を見せてもらった。



いつもは人1人分くらい開いている机が、ピッタリとくっついていることに。


中川との距離が、数十センチもないことに。


左利きの中川が書く字が、すごく綺麗なことに。



どうしようもなく、ドキドキした。