たった、ひと言。




わかってるんだ。


こっちを見たのはたまたま。


あたしと久しぶりに話した事なんて、気付いてもいないんだろう。



「あの子が呼んでるよ」って言われたら。


呼んでる子ばかりを見て、お礼は言うけど呼びに来てくれた子はそんなに見てない。


あたしだってそうだもん。



だから、中川にとってもその程度。



中川の瞳に映ってるのは、呼びに行ったあたしじゃなくて…。



教室の入り口で手を振る奈美なんだ。




わかってる。

わかってるんだけど…。




少しだけ話せたことが嬉しくて。


今日はいい日だったな、なんて思いながら帰る支度をしていた時だった。


明日はちゃんと話したいよ。




そう思いながら中川を見て、教室を出た。