“売家” と書いた紙が貼ってあった……。 「売家?意味…わかんね…よ…?」 なんでいねぇ? どこいった? ドッキリならやめてくれよ、たちがわりぃぞ? 「雪都っ!」 そこには車から降りてきた俺ん家の家族。 「柚ちゃんにさよならも言わないで!」 「さよなら?」 「そうよ!今日引っ掛すって聞いてなかったの!?」 「…」 また俺はやったんだ……。 柚のわがままを聞いてやれなかった。 柚より夏実を選んで、 柚を振り払って、 柚をたくさん傷つけて、 柚をたくさん泣かした―……。