そんな楽しい時間を過ごして夜になった。


「もう8時かぁ」

「早い…」


やっぱり変だ。


「…柚はもう少しわがままになれ!柚のわがままを叶えるのは俺だ」

「…雪…」


雪……ありがとう。
わがままか……。



こんな楽しい時間も1本の電話で崩れてく。


―プルルルル…


「もしもし?」

「雪っ!お願い……怖いの。」

「夏実…」

「お願い来て?」

「わかった!」


俺が立とうとしたとき、

俺の服の袖を掴んでいた柚が、


「…行くの?」

「あぁ!」


柚を振り払って玄関に向かう。


「柚…」


行かせまいとドアの前に立ちふさがる。


「どけろ」

「いや…」

「柚!」

「いやっ!今日だけは一緒にいて!」

「ふざけるな!幼なじみが泣いてるんだぞ!?柚はほっとけって言うのか!?こんな夜に1人でいて危ないだろ!?」


俺は柚を無理やりどけてドアを開けた。


柚はバランスを崩して地面に倒れる。


「ゆっきぃー!!行かないでっ!今日…は…」


なんだか変だと思ったけど

俺は走った―……。