…―――ミシ。


それに、何もないのにきしむ天井とか……、本棚とか床とか壁とか。


今いる場所が、どんどん心霊スポットに思えてきて、心臓が嫌なリズムを刻み出す。


このまま貧血にでもなっちゃうかも……。

でも、ここで倒れたりしたら、また先輩に弱みを握られ―――……、


「?!」


先輩の手が、膝の上でキツく握り締めていたあたしの手に触れた。

そして、あたしの手を覆うように、ぎゅっと握り締める。


驚いて先輩を見ると、目を細めて微笑んだ先輩と目が合う。


「ごめん。こうしててくれる?

朱莉が平気でも、俺が怖いんだ」


そう微笑む先輩からは、いつも通りの余裕が見て取れた。



『俺が怖いんだ』

嘘が、見て取れた。


優しい嘘、が―――…。