「おはよう。朱莉」

「……おはよう、ございます」


今日も朝からすがすがしい微笑みを向けてくる相沢先輩。

戸惑いながら、平然を装って返事をする。


名前が呼び捨てにされてる事なんて、もうどうでもよかった。


それよりも、ただただ気になるのは……、先輩がBLの世界の人なのかどうか。


「いつも通りキレイな茶髪だね。劇の練習が忙しかった?」


いつものイヤミも耳を抜けていく。

真相はどうなのか、じっと見つめていると、相沢先輩が不思議そうに見つめ返す。


「朱莉?」

「え……あ、何でもないです」


ハっとして、慌てて顔を背けて歩き出す。

昨日から離れてくれない2文字が、頭の中を泳ぎ回って離れようとしないから困る。


BL……。

ホモ……。相沢先輩が、ホモ……。