身体半分だけ振り向いた先輩が、あたしをじっと見つめる。

あまりにじっと見つめるから、思わず逸らしたくなるけど……。

自分で呼び止めた手前、負けるもんかと睨み返す。


「そこの男子がよくて俺がダメな理由はなに?」

「山岸は……、友達だもんっ」

「じゃあ、その友達から朱莉を助けた代償って事で。

演技に付き合った代償でもいいけど」

「……っ」


悔しさのあまり何も言えなくなったあたしを満足そうに見てから、先輩が少しだけ目を細めた。


「じゃあね、朱莉。また明日」


スタスタと長い足を進める先輩の背中を、キっと睨みつける。


「会長怖え~……。つぅか、俺、何気にひどい事言われたんだけど。

画にならないとか。ひどくね?」