先輩が入れてくれたあったかい紅茶を一口飲む。
ほのかに甘い紅茶は、普段なら気持ちを落ち着かせてくれるハズなのに。
今のあたしには無意味みたいだった。
「先輩、あの……、バイトの事、黙っててすみませんでした」
カップを置きながら切り出すと、先輩は「ああ」って思い出したように言う。
「そういえば、大野さんとか有田がそんな事言ってたね」
「はい。アレ、本当なんです。
これを先輩にあげたくて……」
ポケットからお守りを差し出すと、先輩は驚いた顔してあたしを見た。
「俺に?」
「はい。……考えても、あたしができる事ってこれぐらいしかなくて……」
「俺のために、バイトを?」
「でも、結果的に先輩の好意をムダにするような事になっちゃって……、本当にすみませんでした」
頭を下げながら謝ると、先輩があたしの手からお守りを抜き取る。
顔を上げると、微笑んだ先輩と目が合った。



