先輩の微笑みが浮かべるのは、さっきみたいな切なさじゃなくて、満足そうな笑顔。
本当に嬉しそうに微笑んでるから、胸が騒がしく動き出す。
「朱莉の気持ち、初めて聞いたよ」
「え……、そんなハズな……、」
「初めてだよ。
朱莉はすぐ顔だとか態度に気持ちが出るから、俺の事好きでいてくれてるっていうのは分かってたけど……。
朱莉の口から好きだって言われたのは、これが初めて」
細い路地ではあるけど、まだ学校にも近いし、誰かが通る可能性だってあるのに……。
先輩が作り出す甘い雰囲気に飲み込まれて、先輩の事以外、何も考えられなくなる。
「俺の方こそ、俺ばかり朱莉を想ってると思ってた」
「そんな事……。でも先輩でも不安になったりするんですか……?」
先輩が余裕をなくして不安がるところなんて想像もできない。
それはあたし以外の生徒でも、先輩を知ってる人ならみんながそう言うと思う。
けど、先輩はあたしの発言を呆れたみたいに笑った。



