「ああ?! なんだと?!」

「……」


山岸のやりすぎな感じのセリフに顔をしかめながらも、相沢先輩の表情を盗み見る。


「ほら。すぐにそうやって声を張ったりして。

大声を出せば強く見せられると思ってるなら、勘違いだよ。

それに、残念ながらキミと朱莉じゃ画にならない……っと、失礼。少し言い過ぎたかな」


山岸に噛みつかれても、その整った顔は崩れる事はなく、微かな笑みを浮かべてる。

まるで精巧な作りの人形みたいにきれいな顔は、いくら先輩を嫌っているあたしでも見とれるほど。


「―――さて」


先輩が、あたしを見てドキっとする。

作戦を忘れて、すっかり見入っていたところを見られて、慌てて作戦内容を思い出す。


……そうだ。ここで涙を……。

なんとかして涙を浮かばせようと努力してると、先輩はにこりと微笑んで首を傾げた。