思わず手を振り払うと、先輩は少し驚いた顔をした後、あたしを確認するように呼んだ。
「朱莉?」
「……あたし、もう帰ります」
俯いて言うと、先輩が黙って振り払われた腕を下ろす。
そして、あたしと視線の高さを合わせるようにかがんだ。
「朱莉、ちゃんと聞いてほしい事があるんだ」
「……聞いて欲しい事があるなら、有田先輩と特別な関係になる前に、あたしに話すべきだったんじゃないですか?」
気持ちが、ガタガタ音を立てて崩れていく感じがした。
今までの有田先輩の威圧するような態度とか、言葉とか……。
自分の、可愛げのない性格だとか。
相沢先輩の、困った顔とか……。
全部が、頭の中でごちゃごちゃになる。
泣きたくなる。
けど、有田先輩がいるこの場所で、弱い部分なんて出したくなくて。
わざと、挑発するみたいな事を言った。



