恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*




だからなんだって言うんだろう。

自分で言いながらそう思った。


でも、有田先輩との事を言うとかは卑怯だからイヤだし。

劣等感を持ってるなんて事とか、自信がないとか、その辺の事はあたしの問題だし。


ってなると、それ以上に説明できる理由もなくて。


困りきって俯くと、あたしの腕を掴んだまま先輩が言う。


「朱莉、今までは順位の事、あまり気にしてなかったよね?

それがなんで急に?」

「それは……、」

「向上心を持つのはいい事だし、朱莉が頑張りたいっていうなら応援だって協力だってする。

けど……、なんで俺と距離を置く必要があったんだか、それだけ教えて欲しい」


ゆっくりと見上げると、少し悲しそうな先輩と目が合った。

さっきまでの怒りはどこかに消えていて、ただ、悲しそうに目許を歪めていて。


そんな顔を見ると、こっちまで悲しくなってきちゃって……、どうしていいのか分からなくなる。


あたしを見つめていた先輩の顔が、驚きに変わる。

……あたしが、泣き出したから。