「いいじゃん、1回くらい。
先輩にもおまえ連れてくって約束しちゃったし。
連れてかねぇと俺がぼこられるんだよ」
ぼこられるって……、勝手にヤンキー設定になってるし。
内心呆れながらも、怒ってる顔を作って山岸を振り返る。
相沢先輩までの距離はあと数歩。
先輩があたし達に気付いたのを確認してから、口を開いた。
「何度も言ってるけど、こういう事されても困るの……!」
その言葉に3年の廊下が少しざわつく。
「困るってさ~。諦めろよ」
男子からの野次に動揺しながらも山岸が続ける。
「つぅかさ、いくら強がっても女だって事忘れるなよ?
その気になれば朱莉なんか力ずくでどうにでもできるんだから」
「……っ」



