「“なぁ、付き合えよ”」
「……」
……まぁ、この際、山岸の棒読みはいいとして。
山岸の声なんか聞こえなかったみたいに、つんとした態度で歩き続ける。
相沢先輩の方に向かって。
考えたシナリオはこう。
1、男に付きまとわれるあたし。
2、たまたま通りかかった相沢先輩に助けを求める。
3、怯えた様子でお礼を言って笑顔(可能なら涙目)。
4、いつもとのギャップに、相沢先輩に不思議な感情が湧き上がる。
以上が午前中の授業を聞かずに考えたあたしの作戦。
ありがちだけど、それなりに効果があるハズ。
こういうのはベタな方がいいし、あまり下手な小細工使っても逆に失敗しちゃいそうだし。



