「うん。ごめんね。
でも、朱莉はいつも意地張って俺を頼ってくれないから、今回くらい協力したかったんだ。
それとも、邪魔だった?」
「……そうじゃなくて。
どっちかっていうと、あたしの方が先輩の勉強の邪魔してるみたいで、イヤなんです」
「だったら何の問題もないよ。
さっきも言ったけど、俺はもうほとんど試験の勉強は終わってるから。
だから、明日もつき合わせてもらえると嬉しいんだけど……、いい?」
……完全に誘導尋問だ、こんなの。
俯いたあたしの顔を覗き込んだ先輩は、極上の微笑みを浮かべてるし。
それに加えて『いい?』なんて色っぽい声で聞かれたら……、あたしに選択の余地なんかない。
先輩は、あたしが首をふれないのを分かってやってるのに……。
結局あたしは、先輩の望み通りの行動をしてしまう。



