……仁美め。
言ったなら言ったで教えてくれればよかったのに。
「聞いたのは朱莉が勉強を始めた日。そっとしておいた方が集中できるかと思ってたんだけど……。
いい加減、黙って見てるのも限界だったから。
でも、よかった。俺にも協力できそうだ」
そこまで言った先輩が、にこりと笑う。
「英語、俺でよかったら教えるよ」
「え、でも、それじゃ先輩が勉強できないし……」
「大丈夫だよ。もう一通りの勉強は終わってるから、あとは流す程度だし。
それに、人に教えるのも自分の勉強になるから」
本当にそういうモノなのかは分からないけど……。
でも、先輩が疑う余地もないくらい優しく微笑むから。
少しためらった後、「お願いします」って、コクリと頷いた。



