「え……、先輩、なんで……、」
見上げた先にいたのは……、あたしの問題集を覗き込むように見る相沢先輩。
テストが終わるまでは用事があって一緒に帰れないってちゃんと言ったのに、なんで……。
見ていると、先輩があたしの問題集を手に取る。
そして、パラパラめくった後、あたしを見て微笑んだ。
「随分頑張ってるみたいだね」
「先輩、なんでここが分かったんですか……?」
ここで勉強するなんて一言も言ってなかったのに……。
聞くと、先輩は隣に座りながら答える。
一気に縮まった距離に、少しだけ緊張が走った。
「3日前、朱莉の態度がおかしかっただろ? 生徒会室の前で俺を置いて帰った時」
「置いて帰ったわけじゃないですけど……」
「朱莉の様子がおかしかったから気になってたんだけど、そしたらその翌日、急に一緒に帰れないって言い出して。
心配だったから、大野さんに聞いたんだ」



