3年の廊下は、やっぱり雰囲気が違って自然と足がためらう。
でも、タイミングよく教室を出てきた相沢先輩を見つけて、キュっと口を結んで気を引き締めた。
「いくよっ」
山岸に合図してから、先輩のいる方へ向かって歩き出す。
感じるのは、3年男子からの嫌な眼差しと、3年女子からの睨むような眼差し。
「女子からすっげぇ睨まれてんだけど。男子からはうっとり眺められてるし。
男子はいいにしても、女子からのこの痛い視線はつらいよな。ひがみって怖えなー」
後ろからコソっと耳打ちしてきた山岸に、コソコソ返事をする。
「どっちも同じくらい嫌。
誰に見られててもどうでもいいから、とりあえずちゃんと演技してよね」
「任せとけって」
にっと笑った山岸が、少しだけ距離を取る。
そして、あたしの後ろから大きな声を出した。



