恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*



 ※※※  


「あ、いたいた!」

「ちょ……っ、声大きいって!」


放課後の生徒会室。

後ろのドアから室内を覗いた仁美が大きな声で言い出すから、慌てて口の前で指を立てて注意する。

それから、あたしもそーっと中を覗いてみる。

1時間後にはバイトに行かなくちゃだから、ちょっとだけ時計を気にしながら。


中にいるのは、相沢先輩と数人の生徒会委員だけで、有田先輩の姿はなかった。


何かを話し合ってるのか、副会長だけが立ってホワイトボードに向かってる。

他の生徒は、相沢先輩も含めて座ったままで、手元のプリントに視線を落としてた。


「あれ……、いないね。有田のやつ」

「さすがに生徒会の集まりにまでは来ないんじゃない?

っていうか、一応先輩だし、呼び捨ては誰かに聞かれたらマズイんじゃない?」

「いいじゃん。別に。

敵なんだし律儀に“有田先輩”とか呼んでらんない」