恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*



確かに、小さい頃から顔には出やすいタイプだったけど、まさかそこまで……。

顔をしかめながら机を見つめていると、仁美が「でも」って続ける。


「そこが不思議なんだよねー。

朱莉がやきもち焼いてるの分かってるくせに、なんで有田先輩を遠ざけようとしないんだろうね」

「……うん」

「っていうか、今までは告白だって全部断わってたし、誰も近づけさせなかったのに……、なんでだろ。

有田先輩に弱みでも握られてるとか?」


仁美が難しい顔をしながら言う。

弱み……。

少し前まで、相沢先輩の弱みを握ってやろうって必死だったのが懐かしい。


「でも、あたしがあれだけ探してもなかったし。

そもそも、相沢先輩の弱点なんかないんじゃない?」

「んー……。でも、気になる」