「あたし、ダメなんだよね……。
好きになっちゃうと何も言えなくなるとか、ホント直したいのに……」
「そうだよねー。朱莉だってホントは相沢先輩大好きだもんね。
合格祈願のお守りを自分で稼いだお金で買うために、初バイトとか始めちゃってるもんね」
「……別に、お守り買うためだけじゃないけど」
なんて、誤魔化してはみたけど。
仁美には、バイトが相沢先輩のためだってバレてるみたいで、ニヤニヤしながら見られる。
……相沢先輩もSだと思うけど、仁美も案外そうなんじゃないかな。
「でもさー、いくら急いでるからって試験前にバイトするとか無謀すぎない?
っていうか、いつから始めるの?」
「今日が1日目。あとは日曜日に1回、月曜日に1回で終わり」
「ティッシュ配りだっけ。3日出ていくら?」
「6000円。でも1日1時間半でいいし、割高だよ」
「でも、その3日間が、ちょうどテスト期間ってついてないよね」
まぁ、確かにそうなんだけど。
でも、先輩の試験は来月からもう始まるから、余裕もないし。



