先輩があたしを好きでいてくれた。
その事実だけで、十分すぎるくらい嬉しくて満足してた。
涙で揺れる先で、先輩が愛しそうにあたしを見つめて……、ゆっくりと近づく。
「だけど、朱莉になら負けてもいいかな」
あんなに欲しかった先輩の敗北宣言が、雨音に消えていく。
先輩の熱い唇を感じながら、そっと目を閉じる。
「……ぁ、…、」
裏庭でしたキスよりも、ゆっくりしてて優しいキスだった。
でも、情熱的で……、先輩に触れる度、体の奥がきゅんとして苦しい。
「…っ……」
先輩の巧みなキスに乱された呼吸を整えてると、それを見ていた先輩が優しく微笑んだ。



