顔が赤いのは熱のせいなのに、見とれてたからって勘違いされてそうで恥ずかしい。

……実際、ちょっと見とれてただけに、余計恥ずかしい。


「大丈夫? でも私これからちょっと席外さないといけなくて。

今日、献血車が来てて、午後から3年生が参加するのよね……。

少し顔出してすぐ戻るから、熱計って横になっててくれる?」

「あ、はい……」


腕時計を気にしながら早口に言う先生に頷くと、先生はナース靴をキュッて鳴らしながら廊下を走っていく。


「廊下は走っちゃいけないのにね」


ふっと笑みを浮かべながら言う先輩に手を引かれて保健室に入ると、薄い消毒液の匂いが鼻をついた。


「座ってて」


先輩に促されるままに白いベッドに座ったはいいけど……。

ベッドのきしんだ音を聞いて、急に教室を緊張が包む。


“保健室”
“ベッド”
“2人きり”

ドキドキさせる単語のオンパレードに、赤くなった頬を両手で覆った。