「他の男って……、そんなのいないって言ってるじゃん!」
「あー、選り好みしてるから? 自分に見合う男じゃなきゃイヤだって事?
……すっげームカつくんだけど」
「そういう事じゃなくて……」
悔しくて、感情が一気に溢れ出す。
こんなくだらない事で文句つけられてるのが悔しい。
でももっと悔しいのは……、意気地なしの自分。
踏み出す事を怖がって、全部を周りのせいにしてる自分だ。
あたしがハッキリした態度をとらなかったせいで、今こうなってるんだから。
悪いのは……、あたしだ。
誰でもいいわけない。
あたしが、山岸をキズつけてでも、想ってるのは―――……、
「あたしが好きなのは……、相沢先輩だけ……っ!」
気持ちを吐き出すようにそう言った時、場の空気が変わったのを感じた。