え……、山岸……。

あたしが、相沢先輩が好きだって知ってたの……?


っていうか、校門前で決まって先に行っちゃうのは……。

あたしの返事を聞きたくないからじゃなくて、あたしのため……?


信じられない気持ちでいっぱいだった。

だって、そんな素振り一度も見せなかったのに……。


「どんだけお人好しなわけ?」

「別にお人好しでやってんじゃねぇよ。

友達として応援してんの、朱莉の恋を」


仁美の皮肉混じりの言葉に、山岸がへらへらしながら……、でも真剣に答えた。


「つーかオレ、朱莉にちょっとイジワルしちゃったし、そのお詫びも込めて」

「イジワル?」

「そー。……あいつさ、オレが告った時から今日まで、必死に断わろうとしてたんだよ。

オレ、それ何回も無理やり無視した。

告るのも勇気いるけどさー、断わるのも同じくらい勇気がいると思うんだよな」

「まー……、山岸は友達だしね。

しかも朱莉、結構気使うタイプだし」